はやみねかおる

昨日は図書館に行きました。

時間があったので、あ〜から順に「日本の作家」に分類されている書架をぐるぐる巡って、小中学生時代、特に熱心だった作家さん、はやみねかおる先生の小説をみつけました。

はやみねかおるといえば、ティーン向けドタバタコメディ推理小説。児童書コーナーにあるのが定番なのに、一般書コーナーにあるなんて。

なんだか懐かしくなって2冊借りてしまった。


一冊は「モナミは世界を終わらせる」というファンタジードタバタコメディ推理小説

ティーンの頃に読んだときと同じように、まるで漫画かアニメ化された映像があって、それを写しとっているかのような描写でサクサク読める。

ドタバタコメディ推理小説はお約束だが、バタフライ効果やら世界とシンクロする学校生活やら、いつになくSFチックな雰囲気が漂う。

作家生活20周年を記念して、編集から企画されたテーマらしい。道理で、という気持ちと、もうそんなに経っているのか、と時間の経過に驚いた。

あとがきに登場する拓人くんと彩人くん。彼らが生まれる前から読んでいたのに、計算したら今ではもう高校生。オソロシイ。

内容としては、
ドジっ娘で平凡な女子高生のモナミが主人公。
彼女の学校は学生当人たちも気づいていないが、なぜか世界の国際情勢とリンクしている。
いつの間にかそのキーパーソンとなってしまっていた彼女は命を狙われる。
そんな彼女を守る忍者が現れて…

ティーンが主人公で、学校が舞台というのは、はやみね先生の得意分野。

もと学校教諭ということもあって、子供たちの表情がリアル。
とはいっても、子供特有の非情さや残酷さはめったに描写されない。
素直で天真爛漫で、イタズラ好きでコミカル、こんな風に生徒たちを眺めている先生だったんだろうな、いい先生だったんだろうなあ、と想像できる。

それから深入りしすぎない淡い恋心。
うんうん、恋愛はこれくらい弱火でじわじわのときが一番楽しいんだよな。

モナミが憧れの安藤先輩のスケジュールを完全に把握しているのは笑った。
塾をサボったときの行き先まで把握しているなんて、ただのミーハーな女子ではできないだろう。

やはりその辺りがモナミが主人公な所以だろうか…

ところで、本作あとがきではやみね先生が書くところによると、なんとなく主張したいところがみえてくる。

自分一人の行動では、世の中は変わらないなんて、そんなツマンナイこと思うなよ、って。

人一人はたしかに非力だし、無力感を覚えることはしょっちゅう。
けれど、それに慣れてはだめだ。

そんな明確に書いてはいないけど、そんなメッセージを送られた気がしたのでした。